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                                              標準物質

柴胡 (Bupleuri Radix:サイコ)

ミシマサイコ(セリ科)の根
saiko-saponin(鎮痛,解熱、胸脇苦満の痛みに使う)を含む。

サポニンを含む生薬サイコサポニン
サイコサポニン (saikosaponin:サイコサポニン)
saikosaponin
        (構造式)
抗炎症、解熱、抗腫瘍作用などを持ち、肝炎治療に使われる。
ただし、肝癌の末期患者に投与すると肝性肺炎を引き起こしてしまう。
C30から成るトリテルペノイドサポニンで、オレアナン型のサポニンである。

柴胡サポニン
細辛 (Asiasari Radix:サイシン)
ウスバサイシン(ウマノスズクサ科)の根及び根茎
Methyleugenol や pellitorin(辛味の主成分)などを含む。
精油は鎮静作用、辛味は老人性の風邪に用いる。

精油を含む生薬
サフラン (Crocus:サフラン)
サフラン(Crocus sativus、アヤメ科)の柱頭
crocetin(カロチノイド色素),配糖体(月経困難,無月経,更年期障害,子宮出血,月経過多,鼻出血)を含む。

色素を含む生薬クロシン、クロセチン、 プロクロシン
サポニン (saponin:サポニン)
本来は、水溶液を振ると、石けんのように持続性の泡を生ずる化合物群に付けられた名称
サポニンは配糖体であり、加水分解するとサポゲニン sapogenin (非糖部)と糖を生じる。サポニンは構造からステロイドサポニンとトリテルペノイドサポニンとに大別される。
サポニン含量の高い植物は去痰薬、鎮咳薬として使われてきた。
サポニンには溶血作用、血球凝集作用、抗菌、抗カビ作用があり、魚などに対して毒作用(魚毒)がある。
気泡試験やリーベルマン・ブルヒァード反応によって存在が確認できる。

リーベルマン・ブルヒァード反応ジンセノシドグリチルリチン酸サイコサポニンセネギンサポニンを含む生薬
サポニンを含む生薬 (The herbal medicine which contains saponin:サポニンをふくむしょうやく)
サポニン遠志甘草桔梗根柴胡セネガ竹節人参
サリシン (salicin:サリシン)
salicin
鎮痛、解熱作用

→ヤナギ
山梔子 (Gardeniae Fructus:サンシシ)
クチナシ(アカネ科)の果実
α-crocin(黄色色素で、黄疸,鎮痙,解熱に用いる)を含む。

色素を含む生薬クロシン
山椒 (Zanthoxyli Fructus:サンショウ)
サンショウ(Zanthoxylum piperitum、ミカン科)の果皮
sanshool(辛味成分で、苦味チンキの原料)を含む。

→サンショオール、 辛味性健胃薬芳香性健胃薬
サントニン (santonin:サントニン)
(-)-α-santonin
ヨモギなどに含まれる精油成分
回虫駆除薬

→ヨモギ、 セスキテルペン
色素を含む生薬 (The herbal medicine which contains pigments:しきそをふくむしょうやく)
→色素、 鬱金紅花サフラン山梔子
シキミ酸 (shikimic acid:しきみさん)
shikimic
フェニルアラニン、チロシンなどのフェニルプロパン体を母体とする多くの植物成分の前駆体となる。

→シキミ
シコニン (shikonin:シコニン)
shikonin
抗炎症、肉芽腫形成促進、抗腫瘍活性

紫根キノン類
紫根 (Lithospermi Radix:シコン)
ムラサキ(ムラサキ科)の根
shikon(ナフトキノン系色素で、殺菌作用,皮膚病,湿疹,凍傷,火傷,切傷)を含む。

→シコン、 シコニン
シザンドリン (schizandrin:シザンドリン)
schizandrin
解熱作用
五倍子に含まれている。

→五味子、 リグナン
シノメニン (sinomeine:シノメニン)
sinomeine
防已(ボウイ)の主アルカロイド
(老人性)関節炎などの鎮痛薬に用いられる。
中枢神経抑制、血圧降下、抗炎症、抗アレルギー作用がある。
麻薬ではない。

防已イソキノリンアルカロイドアルカロイド
芍薬 (Paeoniae Radix:シャクヤク)
シャクヤク(Paeonia lactiflora、ボタン科)の根
paeoniflorin,安息香酸(鎮痛,鎮痙,平滑筋弛緩)を含む。

ペオニフロリン
縮合型タンニン (Condensed Tannin:しゅくごうがたタンニン)
縮合型タンニンは木本類の樹皮、未熟果などに極めて広く分布している。
構成単位の種類、結合位置、結合様式の違いにより、多種のものが知られている。

エピガロカテキンティアフラビンタンニン
縮砂 (Amomi Semen:シュクシャ)
Amomun xanthioides Wall(ショウガ科)の種子の塊
borneol(芳香健胃薬)を含む。

精油を含む生薬芳香性健胃薬、ボルネオール
生姜 (Zingiberis Rhizoma:ショウキョウ)
ショウガ(Zingiber officinale、ショウガ科)の根茎
gingerol(辛味成分),精油(嘔吐抑制,芳香辛味健胃薬)を含む。

辛味性健胃薬ジンゲロール芳香性健胃薬ユーデスモール
ショウズク (Cardamomi Fructus:ショウズク)
Elettaria cardamomun Maton(ショウガ科)の種子
漢字で書くと小豆ク(「ク」の漢字は「蒄」の寸の部分を女に変えたもので、日本の書体には無いもの…)
α-terprinyl acetate(芳香性の健胃薬、駆風薬)を含む。

精油を含む生薬芳香性健胃薬
辛味性健胃薬 (acrid stomachic:しんみせいけんいやく)
早い話が、辛いと唾液もよく出るし、胃酸もよく出るというもの。
ちなみに、辛味薬というと芳香性健胃薬の一種になるが、辛味成分の中には独特の芳香を持つものが多い。

サンショウ、トウガラシ、コショウの辛味は不飽和脂肪酸アミド(イソブチルアミンも多い)によるもので、ショウガなどはフェノール類による。

山椒唐辛子胡椒生姜
地黄 (Rehmanniae Radix:ジオウ)
アカヤジオウ(ゴマノハグサ科)の根
イリドイド配糖体(補血薬)を含む。

ジギタリス (digitalis:ジギタリス)
ジギタリス(Digitalis purpurea、ゴマノハグサ科)の葉
Digitoxin(強心利尿薬)を含む。

→強心配糖体を含む生薬、 ジギトキシン
ジギトキシゲニン (digitoxigenin:ジギトキシゲニン)
digitoxigenin
ジギトキシンのアグリコン(配糖体の非配糖部)

ジギトキシンステロイド
ジギトキシン (digitoxin:ジギトキシン)
digitoxin
持続性強心薬
ジギタリスの強心配糖体の主成分
強心ステロイドである。

ジギタリスジギトキシゲニンステロイド
ジゴキシン (digoxin:ジゴキシン)
digoxin
強心配糖体
ケジギタリス(Digitalis lanata)に含まれる強心ステロイド。

→ケジギタリス、 ステロイド
ジテルペン (diterpene:ジテルペン)
ジテルペノイドとも言う。
4個のイソプレン単位からなるC20のイソプレノイドの総称

アビエチン酸ステビオシドエンメイングアイヤノトキシンテルペノイド
十薬 (Houttuyniae Herba:ジュウヤク)
ドクダミ(ドクダミ科)の全草
漢字は、重薬、十薬 のどっちで書いてもいい。
lauryl aldehyde (緩下、利尿性解毒)を含む。

精油を含む生薬、ラウリルアルデヒド、 クエルシトリン
ジンゲロール (gingerols:ジンゲロール)
gingerols
辛味性健胃
ショウガに含まれる辛味成分

生姜
ジンセノシド (ginsenoside Rb1:ジンセノシド)
ginsenoside
漢方で、強壮、強心、補精、鎮静、抗糖尿などに用いられる。
C30から成るトリテルペノイドサポニンであり、
ダマラン型のサポニンである。

人参サポニン
スウェルチアマリン (swertiamarin:スウェルチアマリン)
swertiamarin
苦味健胃薬
センブリに含まれる。

→当薬、 苦味配糖体千振
スクアレン (squalene:スクアレン)
squalene
唯一の鎖状トリテルペン
深海鮫の肝油に多量に含まれる。
多くの多環式トリテルペンの生合成前駆体となる。

トリテルペン
スコポラミン (l-scopolamine:スコポラミン)
l-scopolamine
l−ヒヨスチアミンと同様に副交感神経遮断薬(抗コリン作用薬)だが、中枢抑制作用が強く、眠気を起こす。
鎮痛、鎮痙、催眠薬

ヒヨスチアミントロパンアルカロイドアルカロイドダツラヒヨスベラドンナ根ロートコン
スコポレチン (scopoletin:スコポレチン)
scopoletin
大棗(タイソウ)、ヤラッパ根に含まれる。
また、スコポリン sucopolin はベラドンナ根、ロート根に含まれる。

→大棗、 クマリン
スチルベン (stilbene:スチルベン)
stilbene
α,β−ジフェニルエチレンをもととする化合物で、植物にかなり広く分布する。溶液は青色の蛍光を発する。

ラポンチシン
ステビオシド (stevioside:ステビオシド)
stevioside
Stevia rebaudiana(キク科)の甘味成分

→キク、 ジテルペン
ステロイド (steroid:ステロイド)
シクロペンタノパーヒドロフェナンスレンの基本骨格を持つ化合物の総称
哺乳動物の性ホルモン、副腎皮質ホルモン、胆汁酸、昆虫の変態ホルモンや防御物質、高等植物の成長促進物質など、重要な生理作用に関わる物質が含まれる。また、強心ステロイドや、ステロイドサポニンのように、医薬品、またはその原料として重要なものも多い。
リーベルマン・ブルヒァード反応によって存在が確認できる。

コルチゾンジギトキシゲニンエクジソンブファリンジギトキシンジゴキシンストロファンチンリーベルマン・ブルヒァード反応テストステロンデオキシコール酸ウルソデオキシコール酸胆汁酸
ストリキニーネ (strychnine:ストリキニーネ)
strychnine
ホミカの主アルカロイド
猛毒であり、ごく少量を食欲不振、消化不良などに用いる。
けいれん誘発型の中枢神経興奮作用がある。

→ホミカ、 インドールアルカロイドアルカロイドホミカ(馬銭)
ストロファンチン (strophanthin:ストロファンチン)
G-strophanthin
速効性強心薬
strophanthus gratus (キョウチクトウ科)の種子の主強心配糖体
強心ステロイドである。

→ストロファンツスシ、 ステロイドストロファンツス
ストロファンツス (Storophanthi Semen:ストロファンツス)
Strophanthus kombe(キョウチクトウ科)の種子
Strophanthin(強心利尿薬)を含む。

→強心配糖体を含む生薬、 ストロファンチン
青酸配糖体 (nitril glycoside:せいさんはいとうたい)
シアンヒドリンの水酸基に糖が結合したもので、加水分解によってシアン化水素(青酸)と糖類、ベンズアルデヒドなど(アルデヒドかケトン)を生じる。
杏仁や桃仁に含まれるアミグダリンが有名、よく青ウメを食うなというのは、これが含まれているために、食べると腹の中で青酸ができてしまい、青酸中毒を起こすため。

杏仁桃仁アミグダリン青酸配糖体を含む生薬
青酸配糖体を含む生薬 (The herbal medicine which contains nitril glycosides:せいさんはいとうたいをふくむしょうやく)
青酸配糖体杏仁苦扁桃桃仁
精油 (essential oil:せいゆ)
植物の芳香性成分は、一般に低沸点で揮発性が高く、植物を水蒸気蒸留すると水と共に留出し、油状物質として水層上に浮いてくる。このことから、精油と呼ばれ、香料や接着剤として使われる。
成分は主にモノテルペンやフェニルプロパノイドなど。

精油を含む生薬
精油を含む生薬 (The herbal medicine which contains essential oil:せいゆをふくむしょうやく)
精油茴香カノコソウ莪朮枳実桂皮細辛縮砂ショウズク十薬蒼朮丁字陳皮当帰橙皮薄荷白朮
セサミン (sesamin:セサミン)
d-sesamin
軟膏基剤、抗酸化剤
ゴマ油の成分

→ゴマ油、 リグナン
セスキテルペン (sesquiterpene:セスキテルペン)
三個のイソプレン単位からなるC15のイソプレノイドの総称

幼若ホルモンアニサチンゴッシポールユーデスモールアトラクチロンサントニンテルペノイド
セスターテルペン (Sesterterpenoid:セスターテルペン)
セスターテルペノイドとも言う。
5個のイソプレン単位からなるC25のイソプレノイドの総称
主に菌類、地衣類などの下等植物や昆虫、海綿などの下等動物から検出されるが、その数は少なく、分布も限られている。

ゼラニファルネソールテルペノイド
セネガ (Senegae Radix:セネガ)
セネガ(Polygala senega var.latifolia、ヒメハギ科)の根
senegin(去痰)を含む。

サポニンを含む生薬セネギン
セネギン (senegin:セネギン)
senegin
鎮咳、去痰に用いる。
C30から成るトリテルペノイドサポニンで、オレアナン型のサポニンである。

セネガサポニン
センキュウ (Cnidii Rhizoma:センキュウ)
センキュウ(セリ科)の根茎
漢字で書くと川きゅう(「きゅう」の漢字は弓に草かんむり)
cnidilide など(フタリド類),精油(鎮痛,補血,強壮)を含む。

センナ (Senna leaf:センナ)
Cassia angustiflora (マメ科)の小葉
Sennnoside(緩下剤)を含む。

アントラキノン誘導体を含む生薬センノシド Aクリソファノール
センノシド A (sennoside A:センノシドエイ)
sennoside
センナ、大黄などに含まれる瀉下(しゃげ)成分(早い話が下剤)。瀉下剤として用いられる。

センナ大黄キノン類
千振 (Swertiae Herba:センブリ)
センブリ(Swertia japonica、リンドウ科)の全草
swertiamarin(苦味健胃薬,苦味チンキの原料)を含む。

苦味配糖体を含む生薬スウェルチアマリン苦味健胃薬
ゼラニイン (geraniin:ゼラニイン)
geraniin
瀉下剤
ゲンノショウコに含まれる。

ゲンノショウコ加水分解型タンニン
ゼラニオール (geraniol:ゼラニオール)
geraniol
香料(バラの香り)

モノテルペン
ゼラニファルネソール (geranyfarnesol:ゼラニファルネソール)
geranyfarnesol
主に菌類、地衣類などの下等植物、昆虫、海綿などの下等植物に含まれる。
数は少なく、分布も限られている。

セスターテルペン
蒼朮 (Atoractylodis Lanceae Rhizoma:ソウジュツ)
ホソバオケラ(Atractylodes lancea、キク科)の根茎
hinesol(発汗,利尿,健胃,解熱作用)を含む。

精油を含む生薬、ヒネソール、 ユーデスモール
ソラニン (solanine:ソラニン)
α-solanine
ジャガイモの新芽など Solanum 属(ナス科)に広く分布している。
溶血作用があり、発熱、嘔吐、頭痛などの症状を起こす。
α、β、γ体があり、主成分はα体
ステロイドアルカロイドに分類される。

→ジャガイモ、 アルカロイド